アクリルゴム(ACM)は、乳化重合の合成によって作られる工業材料です。高温環境下での優れた耐油性が特徴のゴム素材であり、自動車部品から工業製品まで幅広く活用されています。また、他の合成ゴムと比較して性能とコストのバランスが取れている点も特徴的です。
ここでは、アクリルゴムの特徴や製造現場で使用するメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。
アクリルゴムとは、アクリル酸エステル共重合体の化学構造を持つアクリル酸アルキルエステル系ゴムのことを指します。特徴として、主鎖に二重結合を含まない構造を持つことから、直射日光やオゾンによる劣化を受けにくいという性質があります。この性質を活かし、自動車のトランスミッションやクランクシャフト、各種シール材、ガスケット、ゴムホースやパッキン、バルブシステムなど、様々な工業製品に採用されています。
特に、自動車産業では主要な合成ゴム材料として確固たる地位を築いており、土木関連事業でも広く活用されています。
アクリルゴムを使用する大きなメリットとしては、高温環境下での優れた性能にあります。特に、180℃までの高温環境下で安定した耐油性を発揮し、ガソリンや軽油などに対しても高い耐性を示します。
また、耐熱性、耐候性、耐オゾン性はフッ素ゴムやシリコンゴムに次ぐ性能を持っており、側鎖エステル結合の極性により潤滑油や燃料油に対しても優れた耐性を発揮します。そのため、高温環境で使用される工業製品への適性が高いと言えるでしょう。さらに、摩耗性や屈曲亀裂性に対しても充分な耐久性があるため、様々な要素で劣化に強い合成ゴム素材です。
一方で、アクリルゴムには使用環境に関していくつかの弱みがあります。代表的な弱みとして、アクリルゴムは耐寒性に課題があり、-15℃以下の環境では柔軟性が失われ、ひび割れや硬化を引き起こす可能性があります。
また、耐炎性が低いことから、直接火に触れるような部品に使用することはできません。アルコールやトリクロロエチレンといった溶剤に対する耐性も高くないうえに、一部の油などに含まれる薬品の影響から油負けを起こす可能性もあります。そのため、使用前には浸漬試験などの事前確認が推奨されています。
なお、耐熱性とのトレードオフとなるものの耐寒性を向上させたアクリルゴムも開発されており、製造する製品によっては採用できる可能性があります。
アクリルゴムは、高温環境下で優れた耐熱性や耐油性を発揮する合成ゴムです。自動車部品や土木関係を中心に、工業製品の重要な材料として広く採用されています。一方で、低温の環境下や特定の溶剤に対する耐性には課題があるため、使用環境によっては他の素材の方が適性がある可能性もあります。
全体的に性能とコストのバランスが良好な材料であり、特に自動車産業などの工業分野では確固たる地位を築いているゴム素材です。
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※参照元:サンアロー公式HP(https://www.sunarrow.co.jp/technology/rubbermolding/)
※参照元:桜シール公式HP(https://www.sakura-seal.co.jp/)
※参照元:ホッティーポリマー公式HP(https://www.hotty.co.jp/3d_service/consignment/)