クロロプレンゴム

クロロプレンゴム（CR）は、1930年にデュポン社で開発された合成ゴムです。従来の天然ゴムの弱点である耐油性を改良しながら、様々な特性のバランスを実現。現在も自動車部品や電線、建築用ゴム製品など、幅広い分野で活用されています。

ここでは、クロロプレンゴムの特徴や製造現場で使用するメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。

クロロプレンゴムの特徴

クロロプレンゴムは、クロロプレンを乳化重合して製造される合成ゴムです。開発当時の製造現場で主に使用されていた天然ゴムの長所を継承しながら、耐油性や強度で天然ゴムよりも優れた特性のバランスを実現しています。

その他にも、不純物が入りにくい、価格が安定している、加工が容易など、天然ゴムと比べて多くの優れた特性を持つ一方で、燃やした際に人体に有害なダイオキシンが発生するため、焼却する際には適切な処置を行わなくてはなりません。

80℃～90℃での連続使用に耐える耐熱性や、-30℃～-60℃までの耐寒性も備えており、自動車用部品、建築用ゴム製品、電線被膜、ベルトコンベア、Oリングなどの工業用途から、シューズの靴底などの日用品まで幅広く採用されています。

クロロプレンゴムのメリット

クロロプレンゴムの強みは、優れたバランスで様々な特性が共存している点です。特に、機械的強度と反発弾性に優れており、激しい振動や大きな荷重のかかる工業製品などに適しています。また、耐候性、耐油性、耐老化性にも優れており、環境による劣化を受けにくい特性もあります。

さらに、貯蔵のしやすさ、ガス透過率の低さ、強い接着力なども特長です。ポリマー重量の約1/3の塩素を含むことから自己消火性を持っており、難燃性が高いため安全性の面でも優れた特性を示しています。

クロロプレンゴムのデメリット

クロロプレンゴムの弱みとしては、耐水性が低いことから長く水に触れる環境では劣化が進むことが挙げられます。また、電気絶縁性も低いため、絶縁ケーブルの材料などには不向きです。また、低温の環境下では結晶化しやすい性質があり、伸張性や弾性が低下して硬化することで破断や亀裂を引き起こす可能性があります。

環境面に対する課題として、有機塩素化合物であることから、焼却時に有害なダイオキシンなどが発生する可能性があり、廃棄の際には適切な処理が必要となります。

まとめ

クロロプレンゴムは、機械的強度、耐油性、耐候性など、様々な特性がバランスよく備わった合成ゴムです。工業用品から日用品まで幅広い用途で活用されており、加工性に優れているのが特徴です。

一方で、耐水性や電気絶縁性、低温環境下での耐久性には課題があるため、用途に応じて適切な使用を検討する必要があります。