トランスファー成形

トランスファー成形は、プランジャーと呼ばれる容器の中で加熱軟化させたゴム材料を金型に押し込んで硬化させる成形方法です。精密な寸法精度が要求される製品の成形に適性がある一方で、製造のスピードやコスト面が課題となります。ここでは、トランスファー成形の特徴や素材として向いている製品、製造の際のメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。

トランスファー成形の特徴

トランスファー成形では、材料をプランジャー内で加熱して軟化させ、ゲートやスプルー、ランナーといった狭い通路を通過させて加熱されたキャビティ（金型）内に押し込み、硬化させることで成形します。

工程は射出成形と類似していますが、射出成形と異なる点としては成形の際に1回分の材料のみを使用する点と、硬化後はプランジャー内に残った硬化物を全て除去する点が挙げられます。トランスファー成形は優れた寸法精度を実現できるのが特徴であり、成形品が均一に硬化するため完成品に反りや歪みが生じにくく、複雑な形状の製品が製造可能です。

トランスファー成形が向いている製品

トランスファー成形は電子部品のパーツなど、高精度な成形が求められる製品に適しています。金型を閉じた状態で成形を行うため寸法安定性に優れており、複雑な形状の製品が成形できます。一方で、低コスト製品の大量生産を検討している場合は、生産速度の面から他の成形方法を検討する方が良いでしょう。

トランスファー成形のメリット

トランスファー成形の主なメリットは、金型を閉じた状態で材料を注入するため安定した寸法や精度の高い仕上がりが期待できることです。薄い形状や細長い形状など、複雑な成形にも対応可能であり、大規模な機器を必要としないため設備投資やメンテナンスの負担が少ない点もメリットと言えるでしょう。また、注入の際は圧力を上げることで、より明確なエッジが実現できます。

トランスファー成形のデメリット

トランスファー成形のデメリットとしては、材料を金型に入れる前の予熱に時間がかかる点や、材料を通過させるスプルー溝やオーバーフロー溝といった箇所に付着した廃棄物を除去する工程が発生する点から、生産スピードがそれほど早くないことが挙げられます。

また、構造が複雑な金型の作成が必要となることから金型費用のコストが高くなる傾向にあり、大量生産にはあまり向いていません。